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次に、バス路線を支える道路網の整備についてみますと、急成長した都市であるということで、とくに幹線通路の整備が遅れています。郊外地域において、区画整理等の大規模な開発を行ったエリアを除き、4車線以上の幹線道路がほとんどない状況で、バスレーン(バス専用レーン)を設けることが非常に難しいという状況になっています。一方、バス路線網の現状をみますと、赤く太く塗ってあるのが渋滞している路線であり、バス路線網としては全市的にカバーしていますが、道路整備が遅れているために渋滞が全市的に生じています。走行速度が終日平均で約14?qと非常に遅い状態になっています。とくに主要な駅周辺では朝のピーク時や雨の日には、バスが遅れるということが多々あるため、市民からバスの定時性の確保ということが強く求められています。こうした要望に応えるため、平成6年に横浜市で総合計画「ゆめはま2010プラン」を策定しましたが、その中で公共交通の改善ということを重点施策として打ち出しています。これは、総合計画「ゆめはま2010プラン」の中の施策を表したもので、快適性・速達性・安全性・信頼性と先程の奈良交通の話しにもありましたが、これらの頭文字をとり私どもは、快速・安信・ネットワークプランと名付けています。公共交通整備をこの総合計画「ゆめはま2010プラン」の基幹的事業に位置づけており、このプランの中で市民にわかりやすい整備目標を掲げようということで、第1の柱として「最寄り駅まで15分の交通体系の整備」ということを打ち出しています。これは市内の大半の地域において住宅地から最寄り駅まで概ね15分で到達できるようにしようというプランです。2番目の柱が、「都心まで30分の交通体系の整備」です。これは鉄道について市内に5つの副都心を整備するという計画を設け、都心・副都心の間、市内全域から都心・副都心へのアクセスが30分で移動できるようにしようというプランです。3番目の柱が「全国各地市都県の主要都市や空港等を結ぶ広域的な交通体系の整備」ということで、新幹線・空港・高速自動車国適等の整備ということです。
それでは、本日のテーマである「最寄り駅まで15分の交通体系の整備」の背景と施策体系について説明します。この「ゆめはま2010プラン」を策定するにあたり、市民3万人にアンケートをしましたが、その中で通勤・通学におけるバス・鉄道等の公共交通体系の整備ということが大変強く求められていました。このグラフは都心にある西区(右側)と郊外部にある泉区(左側)における利用駅までの交通手段と駅までの所要時間を示したグラフです。横軸が所要時間、縦軸が比率であり、上がバス、下の青色の部分が徒歩とか二輪です。都心の西区においては、移動時間が概ね15分程度となっていますが、郊外地域にある泉区の方では30分以上かかるケースの割合が大変高くなっています。とくにバス利用の場合、所要時間が非常に長くなっており、バスサービスの地域格差、都心と郊外での地域格差がみられます。これを解消することが市民のアンケートからも強く求められています。
整備目標の考え方としては、最寄り駅までのバス交通でのアクセス所要時間の短縮を図るとともに、徒歩またはバスで市民が自宅から最寄り駅まで15分で到達できるようにすることを計画の目標に据えました。次に、このプランを実施するための施策の体系ですが、基本的な考え方としましては、駅まで徒歩15分で行くことができる徒歩圏を拡大させようということで、鉄道新線の整備に力を入れようということですが、全ての市域を15分徒歩圏となるよう鉄道網を整備していくことは、コスト的に大変なことです。

 

 

 

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